「たべるはいきる」 じゃあ、たべられない人は・・・
ぐるぐるエネルゴロジーVol.5
“たべもののポリティクス”
2013年3月17日(日)14:00~
@生活工房セミナールーム
講師:國分功一郎
どうも。
自称國分先生のおっかけです。
告知が出て即行申し込んだので、めっちゃ楽しみにしておりました。
オーディエンスは会場パンパンに80名くらいですかね。
会場の場所柄のせいか、いつもはあまりお見かけしないような雰囲気の奥様方の姿が多かったように思いますねぇー
などと常連顔で最前列に陣取っていたのが俺です。
さて、
年末に服飾の話があったと思ったら今度は食。
これは期待。
~俺目線まとめ~
<0☆イントロ>
ボードリヤールの浪費と消費の話。
浪費は満足して止まるけど、消費は果てが無い
という『暇倫』でも出てきたとても重要な問題ですね。
ボードリヤールのこの話は今まであまり注目されてこなかったとのことですが、
俺は、(『暇倫』の後に読んだせいかもしれないけど、)目かっぽじって読みましたわ。
<1☆哲学における食>
西洋哲学では、触覚や味覚など接触するものを貶める傾向があるため、
あまり食を扱ってこなかったのだけれども、
そんな中、食に関して論じた
シャルル・フーリエとフーリエを論じたロラン・バルトについてお話しされました。
どちらも名前しか知らなかったけど、読む物リストに入れときます。
<2☆ファスト・フード/スロー・フード>
まず、
ファスト・フード/スロー・フードという言葉はおかしい!!
ファスト・フードを早く食べられるのは、情報量が少ないからだ!!
よって、
info-poor-foodとinfo-rich-foodってのはどうでしょう?と。
スピノザが『知性改善論』で展開した定義論の、
「定義は原因を含まなければならない」というところを引いて、
「情報量が少ない(原因)から早く食べられる(結果)」のであるから、
原因である情報を定義に含むべきでは、という話でした。
いやもう全くその通りだと思います。
俺、ファストフードとか、ファミレスとかって嫌いなんですよね。
何か、身体に悪いだけじゃなくて、
頭悪くなりそうな食べ物だなと思ってたんですが、
そうそれ、情報量が少ないんですね、と納得。
<3☆結論に変えて>
『暇倫』から、浪費は革命的である!!
今日の一言、
Notre tort n'est pas, comme on l'a cru, de trop désirer, mai de trop peu désirer...
(我々が間違っているのは、そう信じられたように、あまりに欲望することではなく、あまりにわずかしか欲望しないことだ・・・)
文法的にも暗記すると良いかも知れませんねぇ。フラ語頑張ろー。
<4☆今後の課題とその他の論点>
端折りますが、
うつと食事の関係を扱ったN○Kの番組の話や、
「うつ病=セロトニン不足」、「統合失調症=ドパミン過剰」
なんて、精神疾患を要素還元主義では説明できない、
と言うことが書いてあるらしい
功刀浩『精神疾患の脳科学講義』
という本を紹介されました。これも読む物リストに・・・
そう言えば最近どこかで、
うまみ成分を足した食事をすると認知機能の低下を抑制する
って言う話を聴きました。
また、
貧しい人ほど、カロリーが高いジャンクフードを食べるので、肥満であるのに栄養失調だという話は、普段から実感しているなぁと思いながら聞いていました。
高齢者になると少し話が違ってくるかもしれないけれど、
生活にゆとりのある人の方が、
痩せ型であまり生活習慣病の薬も飲んでいないと個人的には感じています。
ちゃんと統計とか見たわけではないのであしからず。
あと、
レヴィ・ストロースと揚げ物の話は笑った。
國分先生の話要約「レヴィ・ストロースの調理方法に対する考え方は偏ってると思う!!ってレヴィ・ストロースの悪口言ってるけど、中沢(新一)さん来てなくて良かった(笑)」
他は、
「ケチャップはグローバリゼーションによる侵略の一環だ!!」
「フランスの肉は焼くとめっちゃ臭い!!」
「フランスの果物は美味しい!!日本のイチゴとか酸味が無くてお菓子みたいにただただ甘くて変な味だと思う。」
「チリワイン美味しいけど、フリードマンの新自由主義経済の産物だと思うと複雑」
最後に、福島の話。
☆質疑応答☆
なかなかの盛り上がりでした。
中でも質問タイムでの、
消化と排泄についての話にはハッとさせられました。
消化と排泄に使えるエネルギーは一定であって、
たくさん食べて消化にエネルギーを使い過ぎると、
排泄が上手くいかない、という話でした。
で、
自分は今日の話を聴きながら、
「たべられない人」について考えていました。
病気や色んな理由で経口摂取出来ない人にもたくさんお会いします。
0歳から100歳まで。
「たべるはいきる」
じゃあ、
味わって、飲み込むことが出来ない人は?
どうしたらいいの?
と、
どうしたらいいの?と思うこと自体なんだか意味不明だなと思ったので、
その場では挙手出来なかったんですけどね。
ある患者さんのご家族の方が、
「自分が食事をする時にも何だか気を使ってしまう。匂いもするし・・・」
とおっしゃっていたのを思い出しました。
その患者さんは、食べることが出来ないので、胃瘻から栄養剤を投与しています。
もちろんそんな単純な話ではないけれど、
家族も「十分に味わって食べられていない」かも知れない、と思いました。
それに食べることが出来ない人たちは、
ほとんどの場合、うまく排泄するための薬が必要です。
消化と排泄も食べることの大事な要素なんですよね。
とまぁ、
知らない間に自分の仕事に結び付けて考えていました。
考えてたって言うか、もやもやしてた。
まだ自分には、
こんなことを
かみ砕いて消化して語れるほどの情報処理能力はありません。
それで、
何が言いたいかって言うと、
やっぱり俺の人生には哲学の勉強がとても必要だってことです。
そんなこんなで、
今日も國分先生にお声掛けいただいて感無量でしたまる!!
明日3/18の@サザンシアターは間に合うか分からないんで予約してないけど、
立ち見覚悟で仕事が終わり次第向かう予定。